国指定史跡
樺山遺跡The kabayama Remains
縄文時代の神秘。石のモニュメントが物語る人々の暮らし。
北上川の東岸に位置する「樺山遺跡」は、異なる年代の縄文遺跡が2つ存在しています。
高台にあるのはおよそ5500年前の縄文時代の集落で、竪穴住居跡が多数見つかりました。注目は、集落内で見つかった伏甕(ふせがめ=甕を伏せた状態で土に埋めること)。その上部(甕の底)には穴が開いているため、幼児の棺とする説や、胎盤を納めたという説などがあります。
さらに、高台の斜面を下りると、そこにはおよそ4500年前の集落とともに、石を並べたモニュメント(配石遺構)が35基以上も確認されています。
この配石遺構は細長い川原石を立て、その周辺に放射状に石を並べたものが一般的で、「墓地」と見る説と「祭りの場」と見る説があります。が、「樺山遺跡」では、細長い川原石ではなく「石皿」を立てた珍しい配石遺構が2基確認されています。
石皿はクリやドングリなどの木の実を粉にするために使われる道具ですが、発見された石皿は縁と脚があり、つくりも丁寧。表面も使い込まれており、亡くなった方の愛用品として石皿を墓標に使ったと考えられることから、この配石遺構は「墓地説」が有力に。
現在、「樺山遺跡」は高台の集落跡に竪穴住居が復元され、当時の人々が暮らしたであろう風景を再現し、一般公開もされています。周辺は田んぼや畑などがひろがり、遠くには北上川のそばを走る東北新幹線も眺められますが、縄文時代当時は鬱蒼とした森に囲まれた自然豊かな場所だったことが推察されます。
北上川で魚を獲り、森では動物を狩り、木の実や山菜を採取する暮らしは、穏やかで平和だったことでしょう。死者を敬い、丁寧に埋葬したであろう様子に、そんな暮らしが想像できます。
利用案内
- 樺山遺跡 [国指定史跡]岩手県北上市稲瀬町大谷地316
- 樺山歴史の広場 縄文館(無料)「樺山遺跡」に隣接する資料館。同遺跡の発掘時の資料や、当時の暮らしを紹介した映像もご覧いただけます。
樺山遺跡のご見学、イベントの利用についてのお問い合わせ
- Tel/0197-65-5897
- 開館時間/9:00~17:00
- 休館日/月曜日、12月~3月(冬季休館)