国指定重要文化財
旧菅野(かんの)家The kanno House of historic places
武家と農家。“身分”が表す江戸時代のイエ。
旧大泉家同様、「旧菅野家」も江戸時代の伊達領・口内にあったイエです。が、こちらは上層農家(村長のなかでもさらに上役の村長)のイエ。
江戸時代は「士農工商」という身分制度があり、人々が暮らすイエにも身分に応じて規定がありました。仙台藩では村長以上は苗字・帯刀・門の設置が許され、「旧菅野家」には薬医門(やくいもん)という立派な門があります。
しかし、身分は農民のため、武家の旧大泉家とは明確な違いが。農作業の場として欠かせない土間が武家屋敷とは違って広くとられ、建物面積の約4割を占めています。さらに「式台」はなく、建物内も板間が増え、畳が許された下座敷や上座敷の畳には縁がなく、柱に主に使用される木材も杉ではなく栗材が用いられ、室内も暗いなど、さまざまな違いが見てとれます。
また、南部領では南部曲り屋に代表されるように、同じ建物の中で馬を飼う暮らしがありますが、伊達領では別に馬屋をつくるなどの違いも。
北上市では、その他に江戸時代に日本海側から影響を受けた「中門造り」(母屋の一部に中門と呼ばれる突出部を持つ)のイエがあり、南部、伊達、日本海側の3つの文化を継承する住まいが共存していた点も興味深いものがあります。
利用案内
- 旧菅野家(みちのく民俗村内)〒024-0043 岩手県北上市立花14地割62−3
旧大泉家のご見学、キャンプなどイベントの利用についてのお問い合わせ
- 北上川流域とその周辺の茅葺民家を移築復元した東北有数の野外博物館。南部曲り家などの茅葺民家10棟の他、大正建築の佇まいを残した旧黒沢尻高等女学校の校舎など、合計28棟が自然豊かな山間に、ひとつの村のようなカタチで点在しています。
- みちのく民俗村:岩手県北上市立花14-62-3
- Tel/0197-72-5067
- 開園時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休園日/12月~3月の月曜日(祝日の場合は翌日)、国民の祝日の翌日(この日が土・日曜日および前項の休日の場合は翌日)、12月28日~1月4日
- ※「みちのく民俗村」で屋外展示されている茅葺民家は、1日3,000円でご利用いただけます。みちのく民俗村詳細はこちら。