北上市指定文化財
旧大泉家The oizumi House of historic places
南部と伊達。藩境に建てられた武士のイエ。
江戸時代の北上市は、年貢米などを運ぶ北上川舟運の中継港と奥州街道の宿場町として発展してきました。が、実はもうひとつ、北上市の歴史と文化を語るうえで欠かせないのが南部(盛岡藩)と伊達(仙台藩)の藩境であったこと。
南部と伊達の藩境は北上市の南部を東西に走り、藩境には多くの塚とともに両藩が監視役を配置。さらに、藩が接する交通の要衝には番所を設置し、両藩ともにヒトや物資の取り締まりを厳しく行っていました。
加えて伊達では藩にとって戦略的に重要な場所を「要害」と呼び、藩の有力な家臣を配置し、仙台の縮小版のような城下を形成しており、領主が仙台を訪れる際には、参勤交代のような大名行列も行われていました。
ここでご紹介する「旧大泉家」は、口内要害(現北上市口内町)を任された伊達の重臣・中嶋氏の家老職を代々歴任した大泉氏のイエです。中嶋氏は、口内要害にあった浮牛城(ふぎゅうじょう)の城主となりますが、その城下には侍屋敷80軒、足軽屋敷が100軒ありました。大泉氏が暮らしたイエは城下の要となる大手門の前に。
駕籠からの乗り降りの際に足を汚さないように一段低い「式台」を設置した玄関は、社会的な地位の象徴。さらに控えの間となる下座敷、書院造りの上座敷はもちろん、家族がふだん過ごす部屋や裏座敷も縁のある畳敷き、採光のために明りとりもしっかりしている点など、身分の高い武家屋敷ならではの特徴がよくわかるイエとなっています。
利用案内
- 旧大泉家(みちのく民俗村内)〒024-0043 岩手県北上市立花14地割62−3
旧大泉家のご見学、イベントの利用についてのお問い合わせ
- みちのく民俗村(無料) 北上川流域とその周辺の茅葺民家を移築復元した東北有数の野外博物館。南部曲り家などの茅葺民家10棟の他、大正建築の佇まいを残した旧黒沢尻高等女学校の校舎など、合計28棟が自然豊かな山間に、ひとつの村のようなカタチで点在しています。
- 岩手県北上市立花14-62-3
- Tel/0197-72-5067
- 開園時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休園日/12月~3月の月曜日(祝日の場合は翌日)、国民の祝日の翌日(この日が土・日曜日および前項の休日の場合は翌日)、12月28日~1月4日
- ※茅葺民家等は、1日3,000円からご利用いただけます。みちのく民俗村詳細はこちら。